スライ・ストーンのドキュメンタリー『スライ・リヴズ!』、ついに日本公開決定~2025年9月12日(金)からディズニー・プラスで配信

スライ・ストーンのドキュメンタリー『スライ・リヴズ!』、ついに日本公開決定~2025年9月12日(金)からディズニー・プラスで配信
吉岡正晴 2025.08.30
誰でも

スライ・ストーンのドキュメンタリー『スライ・リヴズ!』、ついに日本公開決定~2025年9月12日(金)からディズニー・プラスで配信

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【Sly Lives! Digital Streaming On Disney + Starts September 12, 2025】

開始。

2021年2月に製作が発表され、今年(2025年)2月の「サンダンス映画祭」でプレミア公開されたスライ・ストーンに焦点をあてた音楽ドキュメンタリー『スライ・リヴズ!』が日本でも2025年9月12日(金)からディズニー・プラスのチャンネルで独占配信されることが決まった。

正式な日本語タイトルは、『スライ・アンド・ザ・ファミリー・ストーン:Sly Lives!(aka The Burden of Black Genius)』。

元々、このドキュメンタリーはアメリカでの配信のみという契約だったらしく、日本のディズニー・プラスの担当者が熱心に交渉し、日本での配信にこぎつけたという。また、映画館で上映できるような素材もないらしい。(つまり配信用の画質レヴェルということらしい) また、英語圏以外でも現状のところは配信もされていない。

オフィシャル・リリース

■2025年9 月 12 日(金)配信

『スライ・アンド・ザ・ファミリー・ストーン:Sly Lives! (aka The Burden of Black Genius)』

アカデミー賞受賞監督、アミール・“クエストラヴ”・トンプソンによる『サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)』に続く長編ドキュメンタリー作品。今年6月に逝去した、カリスマ性あふれるスライ・ストーン率いる革新的なバンド、スライ&ザ・ファミリー・ストーンの栄光と苦悩を描く。ポップミュージック界で最も影響力のあるアーティスト、グループの一つとして台頭していく姿、彼らの黄金期から衰退期を捉えるだけでなく、アメリカの黒人アーティストが成功に伴う重圧とどう向き合ってきたかを浮き彫りにする。

クエストラヴは自身の経験と人間関係を通して、天才が背負う代償について語り、我々にポップカルチャーとの向き合い方を再考させる。

★配信クレジット

「スライ・アンド・ザ・ファミリー・ストーン:Sly Lives! (aka The Burden of Black Genius)」

ディズニープラス スターで9月12日(金)より独占配信開始

© 2025 MRC II Distribution Company L.P.

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ディズニー・プラスの契約のしかた

スタンダード=月額1140円(税込み)、年額11400円(税込み)

プレミアム=月額1520円(税込み)、年額15200円(税込み)

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同サウンドトラック

スライ・リヴズ! ザ・バーデン・オブ・ブラック・ジニアス~オリジナル・モーション・ピクチャー・サウンドトラック

2025/5/9 \2,223 CD

https://amzn.to/3JElmm3

同配信 (2/13/2025) (\1800)

同スポティファイ

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重み(重圧)。

1970年代初期のテレビ用インタヴューのアーカイヴ映像などを軸に、スライのトーク(声、映像)、関係者の声、演奏アーカイヴなどに加え、ライヴ映像などもふんだんに使用。また、ディアンジェロ、ジャム&ルイス、アンドレ3000、チャカ・カーン、ナイル・ロジャーズ、クライヴ・デイヴィスらの最新インタヴューを駆使し、スライ・ストーンの過去から現在に至るまでの、その「天才性」「革新性」の秘密にせまっている。

監督のクエストラヴは、「ブラック・ジニアス(黒人の天才)」が抱える重荷(重圧、悩み)は何か、どれほどのものかという問いをさまざまなアーティストに投げる。そして、映像では、『Burden of Black Genius』 (重荷)という単語の中の「Black」という文字に横線が引かれ、『Black  Genius』となる。

そして、1960年代初期、スライがべイエリアで、レコード・プロデューサーとして、またKSOLの人気ラジオDJとして活躍していた頃の様子が描かれる。

基本的には、時系列で、スライの歴史が描かれるが、前半は彼が成功を収めていくまで。そして、半分以降、スライがドラッグに溺れ、ライヴをすっぽかすようになり、メンバーが1人、また1人と去っていく。その結果、彼はほぼ1人だけで音楽を作り出すようになる。初めてリズムボックスを使った曲を作ったり、革新的な音作りを目指した。

そして、ドラッグでボロボロになっていく姿から、1993年、ロックンロール殿堂発表の席で殿堂入りが表彰されるところまでは、見事なカンバックを見せた人物のように見えた。

しかし、成功の大きさと、スライが失ったもの、失敗の大きさのバランスがよくなかった。

そして、最後、同じ質問をアーティストたちに投げかけ、彼らが苦労してその答えらしきものを答えていく。

■「黒人の天才としての重荷(プレッシャー)とは」

オンエアの中で、最後に、アンドレ3000が言った言葉を紹介しようとしたが、自分で書いた文字がうまく読めなかったので、それをご紹介したい。

それは、こういうものだ。

Heavier the head, that wears the crown.

頭が重くなればなるほど、王冠も重くなる。

成功が大きくなっていくと、王冠も大きくなり、その重みに耐えることが大変になる、といった意味だと思う。

女性のルース・コープランドは、「成功の恐怖と失敗の恐怖、それは誰もがどちらも感じる。だが、成功の恐怖はすばらしい恐怖でなければならない」と言った。スライの場合は、すばらしい恐怖ではなく、最悪の恐怖になった、ということか。

ヒップホップ・アーティストは「成功というモンスター(怪物)は、上のほうから降りてきて、その人物を呑み込んでしまう」と説明する。

ヴァーナン・リード(リヴィング・カラー)は、「アメリカにおけるブラック・ジニアスの(ブラックがジニアスであることの)問題点は、誰かが誰かを消費してしまい、消費財になっていること。そしてお互い共食いしているようなものだ」と指摘していた。

クエストラヴが、「ブラック・ジニアスの重荷について」改めて問う。

ディアンジェロは、「ブラック・ジニアスの重荷は(たしかに)あると思う。自分自身の成功の上に、みんなの成功がのしかかっているということ。それはそれは、大変のプレッシャーだと思う。頭が重くなれば、王冠も重くなる」という。

プレッシャーというものはどんどんと大きくなり、重くなっていくということだ。

アンドレは「重荷と翼の関係だ」と説明する。成功するとどんどん重荷が増える。それを乗り越えて飛べるような翼が必要なんだ、という風に解釈できる。

番組を聴いた方から、「重荷と翼、素晴らしい畏れに、痛みを共感でき、実に沁みました」とメッセージが寄せられた。

こうした「ブラック・ジニアス」の重みは、スライに限らず、その後にでてくるマイケル・ジャクソンも、ホイットニー・ヒューストンも、プリンスも、そして、ジミ・ヘンドリックス、そして、白人アーティストにもあるだろう。その重みに結果的に耐えられず死を迎えるという悲しい現実に直面する。

おそらくクエストラヴは、この問いをドキュメンタリーを作っている間中、自身にも問いかけ、そこで「Black」に横線を引いたのではないだろうか。

「ブラック・ジニアスのバーデン(重荷)」というところにドキュメンタリーのフォーカスを持ってきたところ、映画の冒頭とエンディングを、この問いと解答でまとめた構成は、監督としての素晴らしい点だ。

なお、クエストラヴの次回作は、アース・ウィンド&ファイアーのドキュメンタリー。来年あたりには出てくるかと思うが、これも楽しみでしかない。

■スライ・ストーン本作についての関連記事

1)本作についての第一報

クエストラヴのドキュメンタリー第二作はスライ・ストーン

2021年2月22日

https://note.com/ebs/n/ne3be3735414d

2)配給元の決定

特報。クエストラヴ監督のスライ・ストーンのドキュメンタリー映画、ディズニー系映画会社、オニックスコレクティヴが配給権獲得へ

2023年1月25日

3)ドキュメンタリーを見ての紹介

聴取感謝。2025/7/19『レディオ・ディスコ』内「ディスコ・サーチン」第99回登場~スライ・ストーン・ドキュメンタリー『スライ・リヴス!』を見て、その紹介 クエストラヴ監督ドキュメンタリー監督として腕を上げる

期間限定の同録(28分)

あまりうまくしゃべれてないが、上記のような内容についてご紹介しています

■その他、スライ・ストーン関連過去記事~ライヴ・レポートなどを含む

訃報・評伝など

スライ・ストーン82歳で死去

2025年6月11日

https://note.com/ebs/n/n382245d3f543

スライ&ザ・ファミリー・ストーンの「エヴリデイ・ピープル」の魅力~映画『サマー・オブ・ソウル』関連で

2021年9月21日

https://note.com/ebs/n/n5616e3ffd54a

映画『サマー・オブ・ソウル』についてのドミューンでのトーク

2021/9/3

https://ameblo.jp/soulsearchin/entry-12695645292.html

クエスト・ラヴのドキュメンタリー第二作はスライ・ストーン

2021年2月22日

https://note.com/ebs/n/ne3be3735414d

映画『スライ・ストーン』を見て~命をかけて熱中できるものをサーチンして

2015年05月20日(水)

https://ameblo.jp/soulsearchin/entry-12028689471.html

「ソウル・サーチン~スライ・ストーン」ユーストリーム・アーカイヴに

2012年04月08日(日)

https://ameblo.jp/soulsearchin/entry-11216443168.html

『ソウル・サーチン:ザ・セッション Vol.11~A Tribute To Sly & The

2012年03月30日(金)

https://ameblo.jp/soulsearchin/entry-11206769588.html

「ソウル・サーチン:ザ・セッション~スライ・ストーン・トリビュート」レポート(パート1)

2012年03月31日(土)

http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-11208446136.html

「ソウル・サーチン、スライ・ストーン・レポート・パート2」

2012年04月01日(日)

http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-11208656203.html

スライ・ストーン、ヴァンで生活中~仕事をくれと語る

2011年09月28日

https://ameblo.jp/soulsearchin/entry-11031022325.html

2010年01月17日(日)

ルーファス&スライ・ストーン、ライヴ@ブルーノート

http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10436078971.html

スライ・ストーンがツイッター開始

2011年04月05日(火)

https://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10851629101.html

ルーファス&スライ・ストーン、ライヴ@ブルーノート

2010年01月17日(日)

https://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10436078971.html

スライ・ストーン今年も来日していた 衝撃情報

2009年09月10日(木)

https://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10338859350.html

スライ&ファミリー・ストーン@ブルーノート

2008年09月03日(水)

https://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10134870915.html

スライ・ストーン、36分間ステージに立つ

2008年09月01日(月

https://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10133999546.html

■スライ・ストーン関連~初来日のときのライヴ・レヴュー

August 29, 2008

Brenda Will Sing For Sam Moore,: Are You Ready For Sly?

http://blog.soulsearchin.com/archives/002655.html

スライは8月31日、何分ステージにいるかのアンケート。

June 19, 2008

Sly & The Family Stone’s Live Review 2007

https://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10107754472.html

2007年スライ、海外ライヴ評。

June 18, 2008

What If Sly Stone Would Show Up The Stage

https://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10107430498.html

June 17, 2008

Sly & TheFamily Stone Will Coming To Japan August

https://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10107102979.html

スライ&ザ・ファミリー・ストーン初来日決定

July 04, 2007

Sly & Family Stone Reunion: Hit The European Tour

https://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10038715448.html

2007年ヨーロッパツアー開始

May 07, 2007

Why "Family Stone"? : Are There Black Hippies?

https://ameblo.jp/soulsearchin/entry-10032883816.html

May 05, 2007

Back In 1968: When LP Records Were New

http://blog.soulsearchin.com/archives/001753.html

May 04, 2007

Sly & Family Stone’s Paper Sleeve Jackets CD Released

http://blog.soulsearchin.com/archives/001752.html

スライ&ファミリー・ストーン紙ジャケット発売

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ENT>ARTIST>Sly Stone

ENT>ARTIST>Sly & The Family Stone

ENT>DOCUMENTARY>SLY LIVES!

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