最速レポ エラ・サラ・サマラ・ジョイ! ブルーノート公演~オリジナル・アーティスト付セットリスト~20年後も新譜を追いかけて聴きたいシンガー

最速レポ エラ・サラ・サマラ・ジョイ! ブルーノート公演~オリジナル・アーティスト付セットリスト~20年後も新譜を追いかけて聴きたいシンガー
吉岡正晴 2025.02.12
誰でも

最速レポ エラ・サラ・サマラ・ジョイ! ブルーノート公演~オリジナル・アーティスト付セットリスト~20年後も新譜を追いかけて聴きたいシンガー

(内容でます。これからご覧になる方で事前に内容を知りたくない方はご注意ください。見る予定のない方、すでにごらんになった方はどうぞ)

【Sarah, Ella, Samara Joy : Live At Bluenote Tokyo】

威風堂々。

グラミー新人賞獲得というセンセーショナルなデビューを果たした新進気鋭のジャズ・シンガー/ヴォーカリスト、サマラ・ジョイのショーケースライヴを除いて事実上の初来日コンサート。ブルーノート公演はチケット発売、瞬間にソールドアウト。この後、2025年2月13日(木)東京錦糸町墨田トリフォニーホール、2月14日(金)高崎芸術劇場と続く。

1999年11月11日生まれの現在25歳。ジャズ・シンガーの世界では圧倒的な若手クラスだが、そのステージは、若いながらも、堂々としていて安心して見ていられる。なにより、この落ち着いた声と、クラシックとジャズとソウルに根差したうまさ、5オクターブは声がでるのではないかという圧倒的な歌唱力に、僕は少なくともこれから20年後もしっかり新譜を追いかけて聴いていくだろうと確信した。

グラミーが彼女の出発点になったのは、このミュージック/エンタテインメントの世界では想像できないほどのラッキーなスタート。しかし、それを10年、20年続けていくのは、本人の努力次第だ。明るいキャラクターから、彼女なら絶対になんでもできると感じた。

今回はブルーノート2回公演が瞬く間に売り切れてしまったが、きっと今後は、1日だけでなく、3-4日でも、また、コンサートホール(今回は墨田トリフォニーなど)でも十分できそうだ。

ブルーノートではアンコール含めて9曲、約70分だったが、ホール公演は、おそらくもう少し長くなるだろう。

いきなり、ステージにあがってアカペラでチャーリー・ミンガスが友人のチャーリー・パーカー(バード)に書いた「レインカーネーション・オブ・ア・ラヴバード」(ラヴバードの蘇生)を歌い始め、そこからバンドがはいってくるという演出。これで一気に観客の心をつかんだ。

なにしろ、4管、3リズムの7人編成のジャズ・バンドが実にグルーヴし、タイトにサマラのヴォーカルを支える。そして、サマラはときに、楽器のひとつとなりマジックを生み出す。

紅いドレスが、若き新しいスター誕生を印象付ける。

最新作『ポートレート』は、伝説のジャズ・スタジオ、ルディ・ヴァン・ゲルダ―・スタジオで、ミュージシャンたちが集まり、集中して録音した。そのスタジオに入る前に、すでに、ほぼそのメンバーでいくつもの曲を何度もライヴで観客の前で演奏して、アレンジなどをどんどんソリッドに整えていって、スタジオに入った。だから、スタジオの作業は2週間もかからなかったという。

今回の来日メンバーは、ほぼそのレコーディング・メンバーだ。だから、アルバムを作る以前の、今から2年以上前から同じメンバーで、同じ楽曲を何度も何度もやってきているから、ものすごく完成度が高い。

まさに、ここで見せられた70分はそのままライヴ・レコーディングにさえなるような、ひじょうに完成度の高いものになっていた。

各曲のヴォーカルを聴いていると、ジャズだけでなく、どこかオペラ的なクラシックの要素も感じさせ、そのあたりもひょっとしたら、グラミー投票者の心を掴んだ要因のかもしれない。高音にあがっていくところなど、まるでミニー・リパートンを彷彿とさせる。

また、いずれのスタンダード曲の解釈も、ミュージシャンたちのアレンジなども実にいい。(下記セットリストにオリジナル、もしくは、別のアーティストのヴァージョンも明記した)

まだ自身では録音していないビリー・ホリデイ作の「レフト・アローン」なども見事な解釈。ベティー・カーター、ビリー・ホリデイ、あるいは、カウント・ベイシー、はてはアフリカのサンラの曲まで、取り扱う題材は自由自在だ。

僕が彼女につけたキャッチフレーズは、これ。

サラ・エラ・サマラ・ジョイ! 

いずれ、サラ、エラに匹敵するシンガーになるだろう。

Left Alone – Samara Joy

Samara Joy - No More Blues (Live on the TODAY Show)

Spotify : Samara Joy Portrait

~~~

セットリスト

Samara Joy @ Bluenote Tokyo, 2025.02.11

[ ] denotes original composer and/or the act who made it famous

Show started 16:31

01.  (acapella intro to) Reincarnation Of A Lovebird [Charles Mingus]

02.   You Stepped Out Of A Dream [Tony Martin, Nat King Cole etc]

03.   Three Little Words [Extra track for Japanese Pressing CD][The Rhythm Boys / Duke Ellington, Ella Fitzgerald]

04.   A Fool In Love (Is Called A Clown) [Original]

05.   Beware My Heart [Betty Carter]

06.   Peace Of Mind / Dreams Come True [Sun Ra]

07.   Left Alone [Billie Holiday]

08.   No More Blues [Antonio Carlos Jobim]

Enc. Five O’Clock In The Morning [Big Joe Williams, Count Basie]

Show ended 17:41

MEMBERS

Samara Joy(vo) サマラ・ジョイ(ヴォーカル)

Paul Sikivie(b) ポール・シキヴィー(ベース)

Connor Rohrer(p) コナー・ローラー(ピアノ)

Evan Sherman(ds) エヴァン・シャーマン(ドラムス)

Donavan Austin(tb) ドノヴァン・オースティン(トロンボーン)

Jason Charos(tp) ジェイソン・チャロス(トランペット)

David Mason(as) デヴィッド・メイソン(アルトサックス)

Kendric McCallister(ts) ケンドリック・マカリスター(テナーサックス)

■サマラ・ジョイ・ジャパン・ツアー

2025年2月13日(木)すみだトリフォニー・ホール

2月14日(金)高崎芸術劇場

(どちらもソールド・アウト)

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ENT>LIVE>Joy, Samara

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